北鎌にて |
蚊取り線香を持ってきてもらう。 曇り空の中,今日は蝉達の声がかまびすしい。 北鎌のホ−ムに横須賀線の電車が滑り込んできた。 東海道線はオレンジとグリ−ン。 横須賀線は青と白。 それぞれが持つ,シンボルカラ−。 大船駅で各々の行く道が完全に分かれるのだが,僕は大船から横須賀線に乗って鎌倉方面に行くのが好き だったりする。 何故かと問われればうまく言えないのだが,大船を出て北鎌の駅を目指す途中のある所から、雰囲気が確か に変わったと感じられ、「鎌倉に入った」と身体が認識する瞬間がある。 ある時にそんな体験をしてから,ここにはやはり他にはない時の流れがあるんだなと考えずにはいられなくな ってしまった。 僕が住んでいる茅ヶ崎,そして、辻堂、藤沢、大船、鎌倉、逗子、葉山、横須賀、逆に辿って、西湘と呼ばれる、 平塚、大磯、国府津、小田原等、それぞれに街の色があり、光りや風までが違うと感じられるから不思議だ。 そんなに離れていないのに,まるで見えないベ−ルで包まれているかのような錯覚を覚える。 そして特に,鎌倉、逗子、葉山等の空気は、いい意味で独特だと思う。 僕の中で一番は,やはり茅ヶ崎であるのだが、北鎌や逗子あたりには、住んでみたいと思わせるちょっと変わ った雰囲気が漂っているように感じてしまう。 その感覚は,大磯にも持っているのだが・・・ とにかく,僕は今この地に住んでいる事で、自分が自分らしく、ゆるやかに振舞う事が出来る状況に在るという 事で、凄く助けられているなと、つくづく思ってしまった。 人はどこででも生きていけるのだろうし,そうでなければいけないのかもしれないが、もし自分に選択できる 余地があるのであれば、自分にあった土地というので暮らしたい。 そして,やさしい気持ちを忘れずに生きていきたい。 自然を,余裕を持って愛でる瞳をいつまでも失わずにいたい・・・ 様々な音さえも,心地良く聞いていられる自分で在りたいと思う。 2001/盛夏 |
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