冬の友達


「そうかぁ,そう思えばいいんだ」

最近,ふと思った。
何の事かといえば,風邪の事である。
今までは,引いてしまえば、「参ったなぁ」とか、「こんな時に」とか、マイナス要因の事しか頭を占めていなかっ
たのだが、ある事に思い至り、気持ちが随分と軽くなった。
その事とは,「冬なんだから風邪を引いても当たり前」という、それこそ当たり前の境地であった。
勿論,僕の仕事には風邪は大敵で、引かないに越した事はないのだが、引いてしまった場合、今まではどう
しても、「引いてしまったものはしょうがない」と事実は事実として受け止め、悠然と構えるという事が出来なかった。
「しょうがないんだから」と思い込もうとしても,どうしても引いた原因等を考え、振り返ってばかりいた。

しかし,風邪を引いてしまった事を、マイナス要因として捉えず、逆に、「冬に風邪はつきもの」で、「冬と風邪
っていい感じかも」等と、薬でポワ〜ッとした頭の中で考えていた。
服を着るような,顔を洗うような、食事をするような、そんな日常の感覚と同じなんだと思えると、「そんな感覚
も悪くないかも」と、一人ごちていた。
これからは,「参ったなぁ」ではなく、「あっ久しぶり」位の大らかさで、風邪を引くという行為を受け入れられそうである。

冬と風邪

「風邪を引きながら街を歩くのもいいものだ」

思えば,風邪とは長い付き合いである。
「これからもヨロシクな」

ついそんな言葉を心の中で呟いてしまう自分が可笑しくもあった・・・


2002/2/11 茅ヶ崎「ドト−ル」にて


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