妖精達の輪舞(ロンド)


フィギュアスケ−ト女子シングルSP(ショ−トプログラム)を終えた時点でトップに立った,女王・ミシェル クワンは言った。
「2日後のフリ−は,非常にエキサイティングなものになるだろう、そして誰が一番強いのかが決定する」と。
そして,女子シングルはその言葉通りの結末を迎える事となった。
この日ほど,公正な審判が行われた事はなかったのではないだろうか。

その日一番いい演技をした選手が,一番高い表彰台に立つ。

大逆転でゴ−ルドメダルを手にしたのは,SPで4位につけていた、アメリカ期待の新星の一人、16歳の、
サラ ヒュ−ズだった。
彼女のスケ−ティング,演技は素晴らしかった。
それに比べ,ゴ−ルドメダル候補の、アメリカ・クワン、ロシア・スルツカヤは、ミスを重ね(小さなものも含め)、
明らかに精彩を欠いていた。
いみじくも,解説の佐藤有香さんが言っていたのだが、「フィギュアスケ−トは、今まで活躍してきた選手、
ビッグネ−ムに、心情も含め、採点が偏りがちな所があるんですが、この採点はそういう意味でも、これからの
フィギュア界にとって価値のあるものだったのではないでしょうか、その日一番いい滑りをした選手が選ばれる
のが当たり前だと思いますからね」

オリンピックで初のゴ−ルドメダルを狙ったクワンの夢は持ち越された。
スルツカヤも,最大のチャンスを逃す事になった。
彼女達の悔し涙は,きっと又本人を、大きく成長させてくれる事だろう。

「無欲の勝利」

まさに,サラ ヒュ−ズには、メダルの色等なく、ただ自分の滑りを、初めてのオリンピックという、与えられた
最高の舞台で解き放つという事しかなかったのではないだろうか。
勿論,かかるプレッシャ−は尋常ではなかったのだろうが。

僕達の仕事にも言える事だが,例え、ビッグネ−ムであろうと、今まで素晴らしい仕事をしてきたとしても、
「今」出来なければ、駄目なのだという事である。(勿論今までを評価されて然るべきだとは思っているが)
今結果をだす事が出来なければ,「あの人、前は良かったんだけどなぁ」で終わってしまうのである・・・

ただ言える事は,「困難は人を成長させる」
彼女等の活躍を,今後も楽しみに見続けていきたいと思う。

特に,アメリカ・16歳の、サラ ヒュ−ズと、同じくアメリカ・17歳の、サ−シャ コ−エン、この二人には期待大である。

とにかくスポ−ツは素晴らしい!!
 
2002/2/23 11:45 自宅にて


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