ス−パ−ボ−ル激闘の記憶


今回ス−パ−ボ−ルを制したのは,球団設立以来、悲願のス−パ−初進出を果たした、「タンパベイ・バッカ
ニア−ズ」だった。
NO1オフェンス(レイダ−ス)対NO1ディフェンス(バッカニア−ズ)の対決となった今回の闘い。
こういったマッチアップはス−パ−史上初となったようだ。
そして幾つか挙げられる興味深い事柄の一つが,今季からバッカニア−ズを率いる事になったヘッドコ−チの
ジョン・グル−デンが、前期までレイダ−スを率いていたという事だ。
対戦相手であるレイダ−スのQB(クォ−タ−バック)で、今季MVPに輝いた37歳遅咲きのリッチ・ギャノンを始め、このチ−ムを立て直した一番の功労者は、彼、グル−デンであったのだ。
バッカニア−ズでも,34歳のQB、ブラッド・ジョンソンを見事開花させた。
二人とも今迄何チ−ムも渡り歩いてきた末に掴んだ栄光だった。
彼自身も今回記録を幾つか作った。
ス−パ−ボ−ルを制した最も若いヘッド・コ−チ(39歳)であるとか,移籍した最初のシ−ズンでス−パ−を制
した初のヘッド・コ−チであるとか・・・
グル−デンは言う,「ベテランは動きが遅いとか体力的に問題があるとか言われるがそんな事はない、準備を
整えて待っていればきっといい事があるんだ」と。
今レイダ−スにいる,数々の不滅の記録を持つ(現在も更新中)ス−パ−スタ−のジェリ−・ライス(40歳)を
フォ−ティ−ナイナ−ズから迎え入れたのも彼だった。
そんな自分が育てあげたチ−ムに向かっていかなければならなかった彼の気持ちはどのようなものであった
のだろう。
ファイナルスコアは48対21で,バッカニア−ズの圧勝という大方の予想を裏切る結果となった。
グル−デンは言っていた,「ギャノンに気持ちよくプレ−をさせない事だ」と。
それがこのゲ−ムの大きなキ−になると。
様々な要因はあるだろうが,僕はあるひとプレ−が、全ての大きな流れを決めてしまったと思っている。
そのプレ−はゲ−ム開始早々のレイダ−ス最初のオフェンス。
コイントスで勝ち,リタ−ン(攻撃)を選択したバッカニア−ズだったのだが、キックされたボ−ルをリタ−ナ−
の選手がハンブル、それをレイダ−スの選手に押さえられてタ−ンオ−バ−となり、攻守が瞬時に入れ替
わってしまった。
ゴ−ル前20数ヤ−ドだったと記憶している。
レイダ−スにとって敵ゴ−ルは目の前という絶好のフィ−ルドポジションだったし、たたみかける破壊力抜群
の攻撃力からすれば、誰もが簡単にレイダ−スがタッチダウンを奪うものだと思って疑っていなかった。
逆にディフェンス側からすれば,まだ気持ちの用意も整わないまま、それもス−パ−ボ−ルという大舞台の
ファ−ストプレ−という事になれば、いかに強固なディフェンスを誇るといえど絶対的な不利は否めない。
しかし・・・
バッカニア−ズの誇る,攻撃型ディフェンス陣は、1ヤ−ドも前に進む事を許さずレイダ−スの超攻撃陣と、
その要であるギャノンに仕事をさせず、最後はQBサックを決め、ロストさせて攻撃を退けた。
見事なスリ−・アンド・アウトであった。(敵の攻撃を3回で終わらせる事)
この結果レイダ−スはフィ−ルドゴ−ルの3点しか挙げられなかった。
「これで決まったかもしれないな」
とその時僕は思っていた。
この時もしレイダ−スがタッチダウンを奪う事になっていれば,結果は多分逆になっていたであろう。
そう言っても過言ではなかったプレ−だったと今でも僕は思っている。
その後もレイダ−スは,ギャノンは、完璧に押さえ込まれ、殆ど為す術なく、時間だけが経過していった。
第4クォ−タ−(ラスト・クォ−タ−)になってレイダ−スがようやく意地を見せたという形にはなったのが。
スポ−ツはある意味残酷だ。
勝者と敗者にハッキリと分れるからだ。
しかし,その経験を糧として、その悔しさをバネとして、人間は様々な事柄に立ち向かっていく事が出来る
のではないのだろうか。
勝者にしても然り。

今回も沢山の感動をくれた「ス−パ−ボ−ル」
人間とはこんなにも素晴らしいものなんだと感じさせてくれるこうしたスポ−ツに敬意を表しながら、今回は
筆をおこうと思う・・・

ビバ!スポ−ツ!!


2003/1/29 小瀧美術館内「Caffe Angeli」にて


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