ネオロマ5「大阪公演顛末記」


その日,中原くんは勇んで家を出ていきました。
「よし,十分間に合うな、今日は初日だ頑張るぞ」と意気揚揚、新曲を鼻歌で唄いながら最寄駅の改札をくぐりました。
やがて電車がホ−ムに入って来てドアが開き,乗ろうとした瞬間、中原くんはおかしな事に気がつきました、
「何かがない・・・」
そうなんです,どうも今回の荷物は軽いなと道々思ってはいたのです。
「衣装ケ−スを忘れてきた」
サ〜ッと血の気が引いていき,束の間その場で固まってしまいました。
「ハッ」と我にかえった中原くんは,家へとダッシュで戻りました。
「こんな時に加速装置があれば」と,無意識に奥歯を噛み締めている自分にも気づかづ、衣装ケ−スを取ると、
近くのタクシ−会社に掛け込みました。
東海道線の時間まで,その時10分弱。
運転手さんにその旨を告げると,「今なら5分もあれば行けますよ」との力強いお言葉。
中原くんは心の中で「ハイヨ〜ッ!シルバ−ッ!!」と叫んでいました。
そして思ったのです,「そうだ、どこでもドアがあれば一気に解決なんだ」と。
しかし現実は厳しいものです。
中原くんの心の勢いに押されたのか,信号はことごとく青になり、駅の駐車スペ−スにタクシ−が止まった時、
時計の針はギリギリ3分前を指していました。
そしてホ−ムに降り立った時,電車が滑り込んできました。
まさに間一髪でした。
中原くんは,新ためて、「最後まで諦めてはいけないんだ」という事を学びました。
しかし全エネルギ−を使い果たした中原くんは,ヘロヘロのホニャララ状態になっていました。
これから新幹線に乗り換えグランキュ−ブに至るまでの間に,果たして中原くんは回復する事が出来るのでしょうか。
「頑張れ中原くん!立ちあがれ中原くん!ファンのみんなが君を待っているのだから!!」・・・

そしてこの話しには後日談があります。
イベントの翌日,つまり今日ですが、小田原で新幹線を降りた中原くんは、車内に、ジャケットを忘れてしまったのです。
すぐ気がついて係りの方に言えたからよかったのですが,中原くんは、翌日、東京駅にある、遺失物取扱所
に足を運ばなくてはならなくなりました。
かくして「ネオロマ5大阪公演」は,忘れ物に始まり忘れ物に終わるという、中原くんにとっては忘れられない
一日となったようです。
「注意一秒怪我一生」
横浜公演ではそんな事のないようにね,中原くん!


2003/7/1 自宅にて


back Copyright 1999-2006 Sigeru Nakahara. All rights reserved.