祭りのあと


3日間,6ステ−ジの公演が終わった。
始まるまでは「長い」と感じていた時間が「短く」感じられる事を心地良く思いながら、滝のような汗を滴らせな
がら、「お疲れ様!」と拍手の渦の中、楽屋への階段を少し急ぎ足に登る。
手早くメイクを落とし,着替えを済ませ、衣装をケ−スに収めていく。
疲れのせいか,時々何を取りに行こうとしていたのかが分らなくなり、暫し立ち尽くすが、何とか仕度を整え、
いつもの打ち上げ会場へと向かう。
多分遣り残した事は沢山あったに違いないが,遣り切ったという思いも同時にあるのは事実だ。
「自分に今出来る事」を精一杯・一生懸命・愚直に行う事しか,僕には出来ないと思っているし、そこにしか自分
自身の存在意義はないのではないかとも思っている。
既に飲み始めている仲間の元へと僕は足を踏み入れる。
「お疲れ様!」とグラスが触れ合わされ,今回のステ−ジの話しに花が咲く。
確かに終わった。
しかし・・・まだ何も終わっていない,と僕は思う。
僕達にエンドマ−クは点かないのだ。
終わった瞬間に始まり,始まった瞬間に終わり・・・
己の世界に埋没しそうなそんな思考を振り払い,僕も饒舌になる。
「この一瞬の為に僕は生きているんだ」
皆の笑顔を眺めながら,またここにこうしていられる事を僕は感謝していた。

「祭りのあとの・・・」

そう,今回もまさに「祭り」だったのだ。
ただ浮かれているだけでは成り立たない「祭り」

このステ−ジは特別な場所であると認識している。
ゲ−ム・CD・OVA等とは一線を画している世界。
パラレルワ−ルドのようなものと言ったらいいのだろうか。
「同じ」という意識の中では有り得ない世界。
というか,皆「別物」として捉えている世界。
少なくても出演している僕等はそうだ。
そして日頃決して見せない事を見せ,やらない事をやるのがこの場でもあると考えている。
計算されているようで,その場になってみなければ分らない緊張感の連続。
誰も真剣でないと立っていられない舞台。
一瞬で,やるか、やらないかを判断しなければいけない「中途半端」が存在しない舞台。

僕はこれからも己の内なる声を聞きながら,走り続けるだろう。
「失敗」等恐れず,正々堂々と胸をはりながら。
いや,「失敗」を恐れる気持ち等、もともとないのだ。
それは,やるからには成功して当たり前で、どれだけのプラスアルファが生み出されるのかが問題であるからだ。
文字でも言葉でも表せないもの。
しかし確かに存在する「何か」
僕は僕の「思いのまま」にこれからもステ−ジに立ち続けるだろう。

何故なら,自分が発信しなければ何も起こる事はないのだから・・・

PS:今回参加してくれた皆さん,そして留守番組でエ−ルを送ってくれていた皆さん、本当にありがとうござ
いました。
あのステ−ジ上で浴びる皆さんからのエネルギ−のシャワ−はとても爽快で,そしてとても熱く胸の内に
染み込みました。
「皆さんがいるから僕等がいて,僕等がいるから皆さんがいる」
そんな大いなる一体感を又再び体感させていただけた事が何より嬉しかったです。
これからも色々あるでしょうが,応援の程、何卒よろしくお願いいたします。


2003/7/9 14:09 小瀧美術館内「Caffe Angeli」にて


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