天高く・・・


いつ空が高くなったのを感じたのかは定かではないのだが,いつものように空を見上げた時、
「あっ、高くなった」と感じたのだ。
それを言葉で書くのは難しいのだが,確かにそれはもう「夏の空」ではなかった。
先日,見事な夕景を見ながら電車に揺られていたのだが、車窓から見る空には、幾重にも雲が連なり、
重なり合い、広がるその様に、僕はすっかり目を奪われていた。
その瞬間・瞬間にも,形を、色合いを変えていく、空の不思議。

降り立つそれぞれの街にも金木犀の香りが溢れ,吹き過ぎるこの時期特有の風は、心を少しざわめかせ
ながら、またどこかへと帰ってゆく。
もしかしたら僕はこの風が一番好きなのかもしれない。
何かノスタルジ−を喚起させるこの風が。
「秋」という雰囲気を纏い付かせたこの風が・・・

端境期のこの季節。
どちらでもないが,どちらでもある、ある意味中途半端な時間。
しかし,その中途半端さこそが、気持ち良いのだ。
中途半端さ故に気持ち良いのだ。

全てが割り切れたらきっとつまらないのだろう。
「自分も同じだな」
ボンヤリと,そんな風に思った。

空は今日も千変万化し、僕の色々を映し出してくれる・・・


2003/10/1(水)17:08 茅ヶ崎「ドト−ル」にて


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