天才の証明


 4強が出揃った。

ワイルドカ−ドプレイオフ,ディビィジョナルプレイオフと終え、後は、チャンピオンシップとス−パ−ボ−ル
を残すのみとなった。
ス−パ−の一週間後には、ハワイで、プロボウル(選手達自身が選出したオ−ルスタ−戦)が行われ、長
かったシ−ズンに幕を閉じる事になるのだが。
今シ−ズンのNFLは,レギュラ−シ−ズンゲ−ムでも物凄いゲ−ムの目白押しであった。
多分,多くの人の記憶に残るシ−ズンになったと思われる。
そしてプレイオフでの,これまた信じられないゲ−ムの連続。
今季,プレイオフの大きな目玉というか、最大の関心事は、インディアナポリス・コルツが、QB(クォ−タ−
バック)のペイトン・マニングの体制になってから初の一勝を挙げられるかという事であった。
父親もNFLのQBだったマニングは,鳴り物入りでNFL入りを果たし、新人の頃から先発QBの座を用意
され、今までチ−ムを引っ張って来た。
しかし,過去3シ−ズン、チ−ムはプレイオフ1回戦負けという屈辱を味わい続けてきた。
レギュラ−シ−ズンと同じ力を発揮すれば問題ないと思われていた相手にも惨敗を喫し、「マニング
はここ一番というゲ−ムに弱い」「プレッシャ−に弱い」というレッテルを張られてしまっていた。
その度マニングは「全て自分の責任だ」と答えている。
しかし。
今季のマニングは,いつものシ−ズンと何かが違っていた。
ウイ−ク4では,前年のス−パ−ボ−ルチャンプ、バッカニア−ズを相手に、第4クォ−タ−残り5分を切った
ところから、何と3タッチダウンを奪う脅威の反撃を見せ、追いつき、オ−バ−タイムで下すという、まさに
「奇跡」ともいえるゲ−ムを完成させたのだ。
そのゲ−ムがタ−ニングポイントだったのだろう。
バッカニア−ズは前年の輝きを取り戻す事なくシ−ズンを不本意な成績で終え、逆にコルツは勝ち星を
重ね、プレイオフ出場を果たした。
そして,プレイオフ。
マニングは,この3年間の屈辱を、その様々な批判の声を吹き飛ばすかの如く素晴らしい活躍を見せ、自身
のチ−ムをプレイオフ初勝利へと導いた。
タッチダウンパス5本(プレイオフ、タイ記録)を通し,41得点を挙げて圧勝したのだ。
奇しくも,41得点は、先シ−ズンのプレイオフで、ジェッツに完封負けを喫した点数と同じであった。
ディビィジョナルプレイオフでもその勢いは止まらず圧勝。
マニングは,そのプレ−で、全ての人を納得させた。

今季は,前季と違い、優秀なQBを擁しているチ−ムが勝ち上がってきている。
それも殆ど接戦で。
プレイオフでも,1タッチダウン差(7点以内)のゲ−ムが大半を占めたのだ。
オ−バ−タイム3回は,プレイオフ・タイ記録、その内の一回はダブル・オ−バ−タイムという、信じられない
ような結果を残している。

悲願であるス−パ−ボ−ル初制覇に向けて,マニングのプレイがどこまで澄んでいくのか。
マニングに絶対の信頼を置いているチ−ムメイトと共に,彼が歓喜の雄叫びをあげている姿を想像する。
あと2つ。
ス−パ−ボ−ルへの道は,いよいよ大詰めを迎えようとしている。
あとは,ただただ、選手が悔いのないプレイをしてくれる事を祈るだけだ。

今日も僕は,テレビの前で意味不明の言葉を口から迸らせているだろう。
むすんだ掌に,いっぱい汗を掻きながら・・・


2004/1/18 14:51 小瀧美術館内「Caffe Angeli」にて


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