月に吼えるエアプレ−ン


最近,ショッピングを小休止している。
と言っても,全く買わない訳ではなく、案外大物を購入している事実に「ありゃりゃ」と呆れている自分自身
がいたりする。
だから何と言ったらいいのか,捜し歩かないと言った程度だろうか。
先日は,前々から欲しいと思っていて中々これといった物にお目にかかれていなかったレザ−・リュック
に某有名ショップで遭遇し、迷った挙句、一時間後に引き返し購入。
有名な老舗イタリア・ブランドが今シ−ズンから立ち上げたセカンドラインで,この店舗の開店記念として、
ここだけにしか入っていない品物だという事であった。
こういう言葉には確かに情けないくらい弱いのだが,このリュックの、デザインから、レザ−の質・風合い、
そして型崩れしない縫製に至るまで、僕の心は、見事鷲摑みにされていた。
プライスも非常に抑えられていた事は,特筆すべき事としてここに明記しておこう。

それと,時々覗く某雑貨ショップのサイトで目に留まったある物。
早速仕事の途中に買い求め,今僕の手元にある。
しかし,こいつが本来の力を発揮するのは、まだまだ先の事で。
そう来シ−ズンの冬までは,静かに時を過ごす事になるであろう。

「そういえば,レザ−の小物も色々注文したっけなぁ」
なんだ,結局買ってるじゃないか。
溜息を漏らしながら,タクシ−を降りた僕は、深夜の寝静まった住宅街を、家に向かって歩いていた。
ふと見上げた空に,綺麗な月が浮かんでいた。
と,次の瞬間、月の中を飛行機が横切って行った。
月を背景にした飛行機のシルエットのあまりの美しさに言葉もなく立ちすくんでいた僕は,「こんなの初めて
だ」と呟いていた。
「さて,行きますか」
仕事の疲れが心地良く退いていくのを感じながら,僕は再び歩き出していた。

いつまでもこの光を浴びていたいと思いながら・・・


2004/4/4 16:44 茅ヶ崎「ドト−ル」にて


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