「ラウンドするばい!!」〜ダンド−徒然日記〜(其の一)


〜ダンド−戦隊ダブレンジャ−〜
 
・・・テレビを見ていて「あれっ?」と思った方は意外と多いのではないだろうか。
「あの人さっきも喋ってたよな」と。
しかし逆に全く気づかれない場合も多々あるというのが事実だ。
これは「ダブリ」と呼ばれるもので,一人の人間が何役も兼ねる事を指すのだが、あまりに多くの
役を演っていると「自分はどれだっけ?」と、深い深い迷宮に迷い込んで、二度と生還を果たす事が
叶わぬ事態を引き起こしかねないという恐ろしい側面を持つのだ。
そんな彼等・彼女等は,業界用語で「ダブレンジャ−」と呼ばれ、日夜、生死の境を彷徨いながら
「作品」に懸命に命を与え続け、世の中の人々に、夢と希望を表し続けているのだ。
そう,「DAN DOH!!」にもそんな彼等・彼女等は存在する。
ほら,あなたの隣にも・・・

「ダンド−」では,横田役のS君・笠役のH君・一郎役のT君が、大きなダブリを担当するという形に
なっている。
女性では,弘平役のIさん・おねえちゃん役のYさん。
最近では僕もダブリの数が増えてきた。
そんな中,時々大きな間違いも存在する。
第一話のARの時,香盤表(各々の役が振られている)に、新庄邸で飼われている、あの犬のよう
な変なケダモノを、主役のKさんが振られていたのだ。
ダンド−と一緒の場面でもあったし,一同「?」だったのだが、テストが終わってもその事について
何の変更もなかったのでいぶかしんでいたのだ。
ラステスが終わった後、ディレクタ−のJちゃんが、「御免御免、T君お願い出来るかな」と声を掛け、
「そうだよねぇ」「良かったねぇ」と、何故か現場が非常にホッとした空気に包まれたのを憶えている。
本人は真っ直ぐな性格なので,一生懸命やっていたのだが・・・

これがアメリカ等だと,その様相は一変する。
日本のように,スタジオに出演者一同が会して、一度に録るという事をしないのだ。
一人づつ,別々に録る。
故に,「掛け合い」というものは存在しないのだろうと思われる。
というか,そんなものはハナから無視しているとしか思えない。
ビックリしたのは,どこの国かは忘れたのだが、テロップを見たら、何と一人で全ての役を演って
いたという番組があった。
映画「ミセス・ダウト」では,冒頭の部分で、売れない役者に扮するロビン・ウィリアムスがアニメの
ARをしていたのだが、声色を変え、全ての動物(そういうアニメだった)を立て続けに演っていたのだ。
まぁ,逆に外国から見れば日本の遣り方というものが奇異に映るのかもしれないのだが・・・

流石合理性の国と,ある意味変に感心してしまうのが、「泣く」「笑う」「悲鳴」等等,それぞれにスペ
シャリストがいると言われている事だ。
システマティックになればなるほど、無駄な部分は綺麗に排除され、一つ一つ、際立った感情の塊が
作り出されていくのだろう。
しかし,機械的に、鋭角に切り取られたセリフを巧く融合させる事が出来たとしても,そこに「命」が
宿っているかといったら、はなはだ疑問だ。
「これなら人間なんか必要ないじゃないか」
と,僕はそんな風に思ってしまうのだ・・・

なにはともあれ(何がなにはともあれかは分からないのだが), ダンド−に、「あっ、5人いるじゃん」
と単純に思った僕は、脳裏にある言葉を浮かべ、一人ほくそえんでいた。
「じゃあ俺は,あの5人がピンチに陥った時に颯爽と現れる6人目という設定かぁフムフム・・・」
心の中でブツブツと呟いていた僕は,晴れ晴れとした表情で、こう締めくくっていた。

「頑張れ!ダンド−戦隊ダブレンジャ−!!闘え!ダンド−戦隊ダブレンジャ−!!」と・・・


2004/5/16(日)18:30 茅ヶ崎「ドト−ル」にて

PS:「ダンド−」とは,この時僕がレギュラ−出演していた、ゴルフアニメ
「DANDOH!!」の事で、この「ラウンドするばい!!」は、そのAR現場やそ
の他諸々の事を赤裸々(笑)に語った、フィクションとノンフィクションが入り混
じった、掲示板に不定期連載されていたものなんです・・・


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