「ラウンドするばい!!」〜ダンド−徒然日記〜(其の五)


〜ダンド−の聖域〜

各々がスタジオ内で座る席というのは,だいたい決まってくるものである。
中でもレギュラ−ものの場合,それは顕著であろう。
「ダンド−」の現場でも,暗黙の内に2〜3回目あたりでほぼ決まっていたようだ。
人間の心理なのか,端から埋まっていく事が多いようで、真ん中は空いているという事が比較的多い。
それはキャストにもよると思うのだが,ダンド−では僕がほぼ中央に陣取るという布陣になっている。
そして,僕の右側には、一つ席をあけて、一緒に収録する時は、Hさんが座り、また一つあけて、
その隣にYさん、Iさん、そして一番右端に,Kさんが座っている。
先日飲んでいた時に(この時はKさんはいなかった),S君が、「でもあの奥の方は(Yさん、Iさん、
Kさんのいる付近)何か聖域っていう感じで俺達は近づけない気がしない」と、完全な酔っ払いモ−ドで
皆に言い、Hくんから、「どうしてそう思うの?」と聞かれ、「な、何か、いい匂いがしそうじゃない、ねぇ!
ガハハハハハハッ!!」
「それってただの変態じゃないですか」等と、T君はじめ皆に突っ込まれていたのだが、成る程それは
言えるかもと、暫しの間、席談義に花を咲かせていたのだ。
確かに,僕や、S君、T君、In君、H君、Nさん等が、関係ない話をして大笑いしていても(皆の名誉の
為に言っておくが、彼等彼女等は僕の言う駄洒落に優しい気持ちで付き合ってくれているのだ、時には
手痛い一撃を浴びる事もあるが)、Kさんは、台本と首っ引きで、セリフや内容の把握に余念がないのだ。
Iさん、Yさんに、言い方の(方言)指導を仰いでいたり、時には立ったまま、座るのさえ忘れて没頭して
いる時もある。
ただ時々は,一緒に笑っていてくれる時もあるので、そんな時は何故か「ホッと」しているのだが。
(Yさん、Iさんも同じく)
そんな事もあってか,皆も、あそこの空間だけは、自分達のいる空間とは「違う」というのを肌で感じて
いるようなのだ。
そんな事を言いながらも,S君は、ガヤの時には、一番右端のKさんの主役マイクに入りにいく。
(ガヤを録る時、それぞれのマイクに均等にちらばなければいけなかったりするので)
すると決まって,「やっぱり違った」的な表情を見せ、戻ってくるのだ。
僕はどうしているかというと,無関心を装いながら、密かに考えていたりするのだ。

「じゃあ,今度、眩暈がして、みたいな事を装ってあの聖域に踏み込んでみようか」
「いやいや,それではあまりにワザとすぎる、もっと自然じゃないと」
「そうだ,俺は先生役なんだから、大丈夫かな、とか何とか言って、堂々と正面から行けばいいんだ」
「しかし,確かに、何か、清い空間ではあるんだよなぁ・・・」

と,皆と普通に話しながらも、頭の中ではそんな妄想が追いかけっこを繰り広げているのだ。
「今度誰よりも早くスタジオに行って,一番右端の椅子に掛けてみよう」
「何か違う景色が見えるかなぁ,空気も違うんだろうか?」
「いや,待てよ、誰もいない時じゃ何にもなんないんじゃないか、だって・・・」
ハァ〜,これではいつまで経ってもゴ−ルに辿り着けそうもない。

と,時には真剣な話もするが、どうでもいいような話を、「こいつら馬鹿じゃないか」と思われる話を酒の
肴に、今宵も「ダンド−・チ−ム」の夜は更けていくのであった・・・


2004/6/22(火)17:12  茅ヶ崎「ドト−ル」にて

PS:「ダンド−」とは,この時僕がレギュラ−出演していた、ゴルフアニメ
「DANDOH!!」の事で、この「ラウンドするばい!!」は、そのAR現場やそ
の他諸々の事を赤裸々(笑)に語った、フィクションとノンフィクションが入り混
じった、掲示板に不定期連載されていたものなんです・・・


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