「ラウンドするばい!!」〜ダンド−徒然日記〜(其の八)


〜ダンド−の夢・新庄の夢〜

「ダンド−!今度はちゃんと考えて自分で答えを出しなさいね」
「え〜と,うんと、う〜んとぉ・・・」
「何よぉ,ここは昨日教えてあげたじゃない」
「優香,頼むバイ、もう一遍だけ、ナッ!」
「ダ〜メェ!8月に入ったらゴルフばっかりになるから早めに宿題を済ませたいバイ、って言ったの、
ダンド−でしょっ」

「優香,ちょっとお使いに行ってきてくれるぅ!」

「ハ〜イ!!」
「い〜いダンド−,あたしが帰ってくるまでにちゃんとやっておくのよ」
「ねぇ,優香センセイ」
「甘えた声を出してもダ〜メ,じゃあ、あたしが帰ってくるまでにちゃんと解いておくのよ、分かったわね」

「ハァ〜・・・,どうしたらよかかなぁ、まるで分からんとよ」
「昨日も遅くまで素振りしてたからなぁ,頭の中にゴルフ以外入ってこんバイ」
「ファ〜ァ・・・」
「あ〜,いかんいかん、目ん玉をしっかりと開けて〜っ!」
「ムムムムムフ・・・・・」
「あっ、だ、駄目バイ、急に眠く、なって、きた・・ば・・・・い・・・・・・・」

「新庄!フェ−ス角に注意してな」
「う・・ん・・・,ここは?・・・」
「誰だ!?いつここに潜り込んできた」
「えっ,いえ、僕は、そのぉ・・・」
「村井先生,まぁいいじゃないですか」
「しかしなぁ新庄,お前の大事な試合の前だ」
「し,新庄って、えっ、もしかして、先生ですか!?」
「えっ,僕は先生なんかじゃないよ、先生はこちらさ」
「あっ,村井のおじいさん!?」
「おじいさん?おい坊主、おじいさんはないだろう、おじいさんはぁ」
「ハハハハ・・・,確かに村井先生はお年より老成されている印象があるかもしれませんが」
「新庄,まったくお前まで、大人びた口を聞きおって」
「ほらほら先生,そういう喋り方も、少しづつ直していった方が僕はいいと思いますよ」
「それより新庄,早く終わらせて明日の支度にかからねばいかんぞ」
「ハイ,先生」
「あっ,君、君はどこの学校で、何年生なの?」
「オレは,黒川小の5年タイ」
「じゃあ僕と一緒で、同学年なんじゃないか、でも、君見た事がないけど、もしかしたら、転校生?」
「まぁそんなとこバイ,アッ、ハハハハハハッ!」
「君もゴルフが好きなんだね,いや、大好きなんだね」
「えっ」
「だってその手,そこまでなるにはどの位クラブを振らなきゃいけないか僕は知ってるからね」
(それは,先生が教えてくれたんバイ)
「うん?何か言った?」
「い,いや、何でもなか!ハハッ、アハハハハハハハッ!」
「でも,不思議だなぁ、君とは初めて会ったっていうのに、何か前から知ってたような気がする」
「オ,オレも、初めてっいう気がしないバイ」
「ねぇ,ちょっと待っててくれる?このセカンドショットをしっかり乗せて、バ−ディ−でフィニィッシュ
しなきゃならないから」
「なして?」
「今日のスコアをそこに設定してたからさ」
「設定?」
「そうだ,君は今俺と一緒にとんでもない瞬間を目撃するかもしれないんだぞ、小学生が、ここの
コ−ス・レコ−ドを、非公式ではあるが、塗り替える瞬間をな!」
「コ−ス・レコ−ド・・・,おじい、おじさん!ここのコ−ス・レコ−ドって!!」
「9アンダ−だ,去年、あのJ・Bが記録したな」
(先生・・・先生はやっぱり凄かァ・・・)
「うん?新庄、どこを向いておる、グリ−ンは向こうだぞ!おい新庄!ちょっ、あっあの馬鹿打ちおった!」
(ハッ,あれはインテンショナル・スライス!)
「のっ,乗った〜っ!」
「ピンに向かって一直線バイ!、あっぶつかる!」
「おしいっ!イ−グルかと思ったぞ、しかしどうやらバ−ディ−は確実なようだな」

「なして,真っ直ぐ打たんかったと、ライは凄く良かったのに」
「これだよ」
「・・・・・」
「こんなところに健気に咲いている花を踏みにじるなんて事,出来ないだろ?ゴルフは在るがままを
受け容れるスポ−ツなんだ、僕達人間は、自然の中でプレ−をさせってもらってるんだって事をちゃんと
認識して、感謝の気持ちを失わないで一打・一打に臨んでいかなければいけないと思うんだ・・・
君なら分かるよね、何故だろう、もしこれが君でも,その一打が優勝を左右するような大切な一打だった
としても、僕と同じ事をしたと思うんだ、例えそのショットがまだ打った事のない難しいショットだったと
しても・・・」
(先生,オレ、先生に教えてもらって、ホント嬉しかです)
「ちょっ,ちょっと君、どうしたの、そんなにボロボロ泣いて」
「だって,感動したんだもん、すっごく感動したんだもん!ウッウッウッウッ・・・」
「じゃあ,あのボ−ルを沈めてくるね」
「あっ,ちょっと待って!明日の大会って、なんバイ」
「アメリカで開かれる世界ジュニアだよ」
「世界ジュニア・・・」
「新庄は,ダントツのスコアで、日本のエ−スとして出場するんだ」
「あっ,それともう一つ、どうしても叶えたい、も、目標を教えてくれる?」
「・・・目標はただ一つ・・・ジ・オ−プン(全英オ−プン)優勝!」
(せ,先生、先生ならきっとやれるタイ・・・)
「あっ,そうだ、君の名前をまだ聞いてなかったね、教えてくれるかな?」
「オレの名前は、青葉弾道、友達からは、ダンド−って呼ばれとるバイ」
「ダンド−・・・かぁ,何か君にピッタリな気がするな」
「あれっ,何か霧が出てきたぞ・・・」
「ダンド−,待っててね・・・」
「あっ,何も見えん、せ、先生!先生!新庄センセ〜イ!!」

「ダンド−!ダ・ン・ド−!!」
「ヘッ・・・あっ,新庄先生、オレを置いていかんで!!って、優香、なしてお前がここに?」
「なして,じゃないわよ、全く、ほら、涎位拭きなさい、どうせこんな事じゃないかと思ったわ」
「優香!オレな,小学生の頃の新庄先生と会うてきたんバイ」
「 ハイ,ハイ、ダンド−のいつもの作り話ね、都合が悪くなるといつもそうなんだから」
「違うよ,ホントに先生と会ったんだって、先生凄かぞぉ、世界ジュニアで」
「ハイ,ハイ、ハイ、ハイ、もういいから、あたし、もう怒ってないから大丈夫だから、ねっ」
「い,いや、でも」
「あっ,そうだ、いっけな〜い!先生から電話だったんだ、何かまたダンド−に話があるんだって、でも
今は勉強中だから後でお願い出来ませんかって言ったんだけど、何か急な用事らしくて・・・って、
もう!ダンド−ったら、そのエネルギ−を少しでも勉強にまわせればいいのにね」

(先生,先生は、やっぱり、世界一の先生バイ)
「ハイ!青葉です!!」
「何か今日はいつもより元気がいいね,青葉君」
「そ,しょんな事は、なかでしゅよ・・・」
「うん?どうした青葉君、優香君と喧嘩でもしたのかい?」
「しぇんしぇ〜!じゅっと(ズルズルズルズル)ギョルフュ、おしゅえていってほしか〜!しぇんしぇ〜!!」
「分かった分かった,ず〜っと私が教えていってあげるから、ほら、男の子だろ、優香君に笑われるよ」
「ヒャイ!(ヒックヒック・・・)」
「実はねぇ,君にまた行ってもらいたいところがあるんだ、青葉君にとって、また絶対プラスになる事だと
思うから・・・」

その時,オレは思ってたんだ、先生に沢山、沢山、喜んでもらおうって。
沢山,沢山、「良くやったね!」って褒めてもらおうって。
そして,沢山、沢山・・・抱きつくんだって・・・



2004/7/20(火)19:40 茅ヶ崎「ドト−ル」にて

PS:「ダンド−」とは,この時僕がレギュラ−出演していた、ゴルフアニメ
「DANDOH!!」の事で、この「ラウンドするばい!!」は、そのAR現場やそ
の他諸々の事を赤裸々(笑)に語った、フィクションとノンフィクションが入り混
じった、掲示板に不定期連載されていたものなんです・・・


back Copyright 1999-2006 Sigeru Nakahara. All rights reserved.