スタバタイム



何かに「こだわり」を持っているという人は,案外多いのではないのかと思う。
大きな事や些細な事も含めれば。
最近の自分を見ていると,それがもう当たり前になってしまっていたので何とも思わなかったのだが、一つ非常に
こだわっている事があったのだ。
それは何かと言うと。
「地元のスタバではソファ−席以外に座らない」という事。
スタッフとはだいだい顔見知りなので,僕が入っていってソファ−席が埋まっていると「申し訳ありません」と言って、
ウエイティング用の丸椅子をすぐに出してくれるのだ。
逆に僕は「いつもいつもスイマセン」と言って待つ態勢に入る。
短い時はほんとうにすぐ,長い時は30分以上,僕はそこで過ごす事になる。
外を見たり,グッズを見たり、携帯電話で話したり、ボ−ッとしたりしながら。
その間,スタッフが時々,小さな紙カップに入れた珈琲を持ってきてくれたりするのだ。
夏場はアイスがいいかホットがいいかを聞いてくれたし,この間はある男性スタッフが「たまにはちょっとココアでも飲んでみますか?」
と言ってつくってくれた。
その際「勿論,甘さ控えめでつくらせていただきますので」との言葉を添えて。
彼は,僕が甘い系の飲み物は苦手だという事をちゃんと憶えていてくれたのだ。
(そんなところも僕が「スタ−バッカ−」で有り続けている要因の一つになっている)
これからは「ココア」がどんどん恋しい季節になってくるので,コ−ヒ−の前に「甘さ控えめのココア」を注文しようと
僕は密かに思っていたりする。
ソファ−席以外は全部空いているのに待っている姿は,ある意味滑稽かもしれないのだが、何時の頃からか、
それが「当たり前」になってしまっていたのだ。
僕にはそれが至極当然の事になってしまっていたのだ。
そして,店に足を踏み入れた時、自分のお気に入りの席が空いていたりすると(特に一番手前)、とても幸せな気分に
包まれ、心でガッツポ−ズを取っていたりもするのだ。

僕はこれからもここに通い続けるだろう。
お気に入りのソファ−席に座り,時々外を見遣りながら、こうしてノ−トPCを打ったり、本を読んだりしながら。

クリスマスソングに柔らかく包まれる中,今宵もスタバでの時間が、優しく穏やかに流れていく。
外に目を転じると,夜の帳が降り、冷たそうな雨がまだ降り続いている。

「もう少し本を読んでいくか」
大きく伸びを一つした後,視界に入ってきた「シフォンケ−キ」の誘惑を受けるべきかどうか迷いながら、
カップとスタバカ−ド片手にレジに向かう僕がいた・・・



2006/12/9(土)17:55 茅ヶ崎「スタ−バックス」にて


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