毎日の服選び



僕にとっての冬は華やいだ季節だ。
毎晩幾つかの天気予報をチェックし,天候によってインナ−とアウタ−、及び、鞄と靴を決めていく。
細かい事を書くと,風が冷たいとか、強いとか、雲が多いとか、晴れているとかによって、同じ気温でも体感温度が
全く変わってくるので侮れないのだ。
雨の日は大概自慢のレザ−達はお休みという形を取っているのだが,最近では服か靴か鞄のどれかで、
雨の日でも大丈夫なような仕様の物を準備しているので、案外ワイルドに着こなしたりしていると思う。
だいたいが前の晩に,クロ−ゼットから出し、掛けておくのだが、次の日に時間の余裕がある時は、当日揃えたりもする。
やっかいなのは,頭の中でシュミレ−トしていた組み合わせが巧くいかなかった時だ。
色が合わなかったり,素材感がズレていたり。
そういった時は,あまり最初に選んだ物に拘らず、ベ−シックな物に返るようにしている。
それでも時々,悩みに悩みぬき、予定の時間をオ−バ−、何て事もあったりするのだ。(不思議と仕事の時にはこうはならないのだが)
逆に,考えてもいなかった組み合わせが嵌る事もあり、そんな時は密かにガッツポ−ズをとっていたりもする。
小学生の時,僕は前の晩に次の日の用意がちゃんと出来ない子供で、毎日・毎日、バタバタしていたように思う。
それが今では,前の晩に用意をしていないと落ち着いて眠れない程になってしまっいるのだ。
夜中に何度も「いや,やっぱり靴は・・・」とか「・・・うん、あっちのコ−トにしよう」とか、出したり入れたりしている様は、
ちょっと他の人には見せられないだろう。
だって,きっと、もっとブツブツ言いながらクロ−ゼットの前で様々な思いを巡らせているのだろうから。

クロ−ゼットを開け,素早く頭で組み合わせてみる。
「よし!これでいこう」
決めた後は,何故か何時も、心が穏やかになるのだ。

靴を玄関に出し,その足でキッチンへ。
これも何時ものように,珈琲を淹れる。(いれるといってもインスタントなのだが)
クリ−プとアカディをたっぷりいれた僕だけのスペシャルだ。

息を吹きかけながら一口。
「うん,美味い」

いつもの夜が,淡々と終わろうとしていた・・・



2007/1/11(木)1:03 「自宅」にて


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