マニングボウル




「マニングに始まりマニングに終わったシ−ズンだった」

今シ−ズンのNFL(アメリカンフットボ−ル)開幕当初の最大の関心事は(通称「マニングボウル」と呼ばれた)
初の兄弟クォ−タ−バック対決となったオ−プニングゲ−ム,コルツVSジャイアンツ戦であった。
既に数々の金字塔を打ち立て,NFL現役最高クォ−タ−バックという呼び声も高い、兄(ペイトン・マニング)に
弟(イ−ライ・マニング)が挑むという構図に、全米の視線は釘付けとなり、ボルテ−ジは最高潮に達していた。
イ−ライも成長の証を見せるクォ−タ−バッキングを見せ,ペイトンと堂々と渡り合う好ゲ−ムを展開していたのだが、
最後は地力の差を見せ付けられた格好で,兄に軍配があがった。
その後,イ−ライは奮闘するも、17週(最終節)まで縺れ込んだプレイオフ争いに一歩及ばず、苦杯を舐めた。
前半良かった調子が後半落ちた事が悔やまれるシ−ズンとなった。
片や兄の率いるコルツは「今季こそパ−フェクトシ−ズンか!」と言われる程の快進撃(2シ−ズン連続開幕9連勝)
を見せていたのだが、終盤ディフェンスが崩壊し失速,プレイオフには早々と進出は果たしていたものの、
今季コルツがス−パ−ボウルに進出出来るとは、その時は誰も予想していなかったと推察される。
またもや,コルツは、マニングは、ダンジ−(ヘッドコ−チ)は、ス−パ−に手が届かないのかと。
ダンジ−はコルツにくる前年まで,バッカニア−ズでヘッドコ−チを務めていたのだが、レギュラ−シ−ズンで
いい成績を収めながらプレイオフでは勝てないコ−チと何年も言われ続けてきていたのだ。
そしてコルツへ移ってきたシ−ズン。
何とバッカニア−ズは,新任のヘッドコ−チ(ジョン・グル−デン)の元、躍進を続け、あれよあれよという間に
ス−パ−ボウルを制してしまったのだ。
皮肉な事に,ダンジ−が育て上げた、当時最強と謳われたディフェンスによって。
その事によって彼には有り難くない冠が付く事になる。
「悲運のコ−チ」と。
そしてそれは,天才クォ−タ−バック・マニングにも付いて廻る事になる。
レギュラ−シ−ズンは無敵を誇る攻撃力を誇っていたにも関わらず,プレイオフではまるで別人の如くなってしまい
ミスを連発し、大差を付けられ敗退。
その繰り返しの中で,気持ちを折らずにモチベ−ションを保つのは大変な事だっただろう。(己を信じ,チ−ムメイトを信じ、 ヘッドコ−チを信じ、スタッフを信じ)
何故なら,プレイオフでの成績は確かに悪いが,ここ数年のレギュラ−シ−ズンの成績には目を見張るものがあったからだ。
必ずと言っていい程,チ−ムが期待に応える躍進を見せているのだ。
実は,先シ−ズンが、コルツがス−パ−を獲る確立が一番高いと言われていたシ−ズンだった。
そして最強のトリプレッツと言われた攻撃陣,マニング&エジェリン・ジェイムス(ランニングバック)&マ−ビン・ハリソン
(ワイドレシ−バ−)を見られるのはこのシ−ズンが最後だろうと言われていたのだ、ジェイムスが来期FAを行使するで
あろうという推測の元。
チ−ムもマニングも絶好調で,あのドルフィンズ以来のパ−フェクトシ−ズンかと言われ、まさに全米の耳目が
注目し期待を寄せていた。
しかし。
コルツは,またもス−パボウルへの道を閉ざされてしまったのだ。
そして今季,ジェイムスはコルツを離れ、最強と言われたトリプレッツの一角を欠く事となってシ−ズンに突入した。
誰もが,コルツのオフェンスがいつものように機能しないのでは、と危惧を抱いていた。
が,蓋を開けて見たら、結局コルツの攻撃力に陰りは見えず、快進撃を続けていったのだ。
その穴を見事に埋めたのは新人ランニングバックのアダイであった。
終わってみれば,ル−キ−イヤ−に1000ヤ−ド以上(ル−キ−NO,1)を走りチ−ムに貢献した。
(1000ヤ−ドラッシングは優秀なランニングバックを表す代名詞の一つと言われている)
そしてプレイオフに進出してからは,ショ−トエッセイ「伝説を継ぐ者」にも書いたような激戦・死闘を潜り抜け、
大方の予想を良い方で裏切った形でス−パ−ボウルチャンプに上り詰めた。
マニングにとって初となるス−パ−ボウルは,今迄の歴史の中でも最悪と言われる条件の中での闘いとなった。
横殴りに吹き付ける風雨の中,オフェンス主体のチ−ムの方が絶対的に不利と言われる下馬評を覆し、
マニングは要所・要所で得意のパスを通し、ディフェンスも相手のお株を奪うインタ−セプトなどのビッグプレイ
を次々と決め、逆転の末、遂に念願の頂点に立ったのだ。
それは,チ−ム一丸となった見事な勝利だった。
難航するかと思われたス−パ−ボウルMVPには,マニングが選ばれた。
それほど活躍した選手がいたという事だったのだが,その中心にいたのは、紛れもなく「ペイトン・マニング」だったのだ。

これからマニングの第二章が始まる。
生きる伝説と言われるマニングが,更なる輝きを放ち、大いなる「アンタッチャブルレコ−ド」を次々と打ち立てていく姿
を想像しながら、彼の独創性溢れるプレイにこれからも酔わせ続けられたいと思う。

一回り大きくなったマニングの来季のプレ−が今から楽しみだ。

「おめでとう!グレ−トクォ−タ−バック,ペイトン・マニング!!」




2007/2/9(金)17:44〜2/17(土)17:43 茅ヶ崎「スタ−バックス」にて


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