湘南サイクリングロ−ド

最近,地元が舞台のテレビドラマを見ていて、無性に海辺をチャリンコで走りたくなっていた。
と言うか,主人公が勤めている「新江ノ島水族館」を見て走りたくなったのだ。
夏以外でチャリンコで海へ繰り出すのは多分初めての事だ。
自宅から茅ヶ崎へ出て、海沿いのサイクリングロ−ドを漂いながら江ノ島を目指し「新江ノ島水族館」の前辺りで、海を見ながらおにぎりでもパクつこうという計画を急遽立てた。
その後,江ノ島駅から江ノ電に乗り「OKASHI0467」を目指そうと。
僕はいつも「思い立ったが吉日」なのだ。
今年の夏,僕は海へ行っていなかった。
久しぶりの海。
小春日和の海。
いつも夏に来ると挨拶していたように「帰ってきたよぉ〜!」と声を掛けながら,少し懐かしい景色の中を走り出す。
沖には沢山の漁船が見える。
生憎富士山は見えなかったのだが「烏帽子岩」も「江ノ島」も,クッキリと見えていた。
僕は何度も何度も,愛車「ブロンプトン」の上で深呼吸を繰り返しながら、ゆっくりと噛み締めるように奔っていた。
海はキラキラと輝き,汐風はどこまでも優しく僕を包んでくれる。
「これが足りなかったんだ」
そんな思いに抱かれながら,久しぶりの江ノ島を前に、バッグからおにぎりを出し、ポカリスエットのキャップを回した。
本当は,ここから「OKASHI0467」までクル−ジングして行こうかなと思ったりもしたのだが、距離と時間を考え、ロングクル−ズは次の機会にした。
平日にも関わらず,海には人が多く出ている。
おにぎりを1つ食べ,ふた切れ目の卵焼き(甘い奴)を食べようと左手に持っている時だった。
指先に軽い衝撃を感じ「あっ」と思った時には「トンビ」の大きな背中が上昇に移るところで「卵焼き」が先の二段下くらいに何片かに分かれて落ちた後だった。
それを待っていたかのように数羽のカラスが「卵焼き」の欠片を啄み素早く飛んで行った。
僕の目の前の一段したの階段上に小さな卵焼きの欠片が1つ残っていたのだが,一羽のカラスが、僕の顔色を伺いながら、ピョンピョン撥ねながらゆっくりと近づいてきた。
僕が目で「いいよ取りなよ」と語り掛けると,カラスは首を傾げ「いいの?」という風情を見せたので「いいよ」と再度目で言うと、素早く欠片を加え、それを下で待っていたカラスのところに持っていって食べさせ始めた。
「へ〜お前偉いじゃん」
指先には傷1つついていない。
久しぶりの海にテンションが上がり大事な事を忘れていたのだ。
そこかしこに「トンビに注意!」という看板があり,食料は見せないようにという、ここら辺では当たり前の事を。
空を見上げ「惜しかったな獲物を巧く捕獲できなくて」と,優雅に弧を描くトンビに呟いていた。
恐怖心が沸いてこなかったのは不思議だ。
怪我をしていれば別だったのかもしれないが。
もう1つの「おにぎり」はどこかで食べよう。
イルカのショ−が始まるというアナウンスを背中で聞きながら,江ノ島の灯台を、目を細めながら暫し見上げていた。
僕の位置からだと,ちょうど正面に「富士山」が見えた筈なのだが、まぁ次の機会には見られるだろう。
人々の楽しげな声を聞きながら,僕はブロンプトンに跨る。
ふと,先程の事は「もう来年から50代なんだから、しっかりと生きなよ」と何かに言われたのかもしれないなと思った。
最近経験した諸々の事も含めて・・・

「さぁ,OKASHIを目指そう」

沢山の人の間を縫うようにブロンプトンを滑らせていく。
これからは,どんどんこいつと一緒に、それぞれの街並を、それぞれの風に吹かれながら奔り抜けよう。

湘南サイクリングロ−ドは,今日も「快晴」だ!



2010/11/11(木)15:34 「OKASHI0467」にて
              &
2010/11/12(金)01:55 「自宅」にて
              &
2010/11/14(日)12:37 「自宅」にて


back Copyright 1999-2010 Sigeru Nakahara. All rights reserved.