梅雨が来る前に

今とても楽しみに待っている「物」がある。

「ブロンプトン」アメノスパッツィオ・レザ−スペシャルエディション!

僕が勝手に「命名」したのだが,この「言葉」を毎日呪文のように繰り返し、一日千秋の思いで完成を待っている事は確かだ。
うまく運べば今週中という話であったのだが,やはり事はそううまく運ばず、来週以降になりそうだ。
「梅雨が来る前までには」
と言ってくれていたので,僕は、その「言葉」を信じて、ただひたすらじっと待っている。
「浮気心」が起きなかった訳ではない。
余りにも長く自転車に乗れないので「もう一台買うか」とネットサ−フィンを続け,何度か購入寸前までいった事があった。
ただ,その度に「いやいや,やはりブロンプトンに今は全愛情を注ぐべきだ」という内なる声に指が止まっていたのだ。
夏に乗ると汗も沢山かき,レザ−にも汗の染みが出来るかもしれないという懸念もあったのだが「それも味」と思い定める事が出来「ブロンプトン一筋」を貫く事にしたのだ。
他のレザ−には普通にそう思えるのに,これに対してはそう思えなかったという事は不思議な事ではあるのだが。
ただ「待つ事」がこんなにも狂おしいという経験は,その昔「ラブレタ−」を送った後の相手からの返事を待った感覚に似ている。
あの時は,返事が早く返って来て欲しいという願いと「あぁ出さなければ良かった」という悔悟の念が錯綜に錯綜を重ねていた。
「若かったなぁ」
と学生の頃を思い浮かべてはみるのだが,案外その後も同じような行動は続き、己の「学習能力」の低さに愕然と立ち竦んだりしていたものだ。
「今はどうだろう・・・今も余り変わらないか,ハハハ・・・」
「草食系」という言葉が全く信じられない「猪突猛進系」な僕には「考える前にすぐ行動に移す」というパタ−ンが染み付いているのかもしれない。
「ブレ−キ」を踏もうとしていた筈なのに「アクセル」を踏んでしまった,みたいな。
それも間違えてではなく。
そんな関係ない思考の中に埋没しながらも「早く出来ないかなぁ」と口に出して言っている自分がいる。
それと同時期にもう「一品」(ひとしな)。
来月にも,別の「一品」が控えている。
当分は「待つ事」の中に様々な意味を見出して行く作業に追われそうだ。
そういった日々を送る中で「出来ましたよ」という報告が受けられればいいかなと。
「梅雨が来る前に〜」
昔好きだった歌のメロディ−に載せて口ずさんでみた。
すると,それに合わせるように「ウグイス」が綺麗な声を響かせ始める。

「梅雨の時期が少し遅れればいいのに」

新緑の庭に眼を遣りながら,僕はそんな事を考えていた・・・




2011/5/21(土)15:32 「自宅」にて


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