メジロの追っ掛けっこ

緑色が僕の左側を過ぎていった。
「うん?」と見ると,メジロだった。
いつものサイクリングロ−ドを走っている時,後ろから飛んで来たソイツに追い越されたのだ。
暫くすると左側の繁みに入っていった。
すると又僕の左側を緑色が。
前のヤツが入った繁みを通り越し,暫く行くと、同じく左側の繁みへ。
最初のヤツが入った繁みの所に辿り着き覗き込むと,飛び出してきた。
すると,それに合わせたように、前方の繁みから、もう一羽が飛び出した。
まるで,追っ掛けっこをしているようだ。
程なく僕の視界から二羽は見えなくなった。
視線を海に転じると,波音がやけに大きく聞こえてきた。
自分で命名した,第2チェックポイント「風の谷」を過ぎる。
いつもの「新江ノ島水族館」前のポイントまでは,後10分程だ。
家の庭にも「メジロ」は時々飛んでくる。
母が気紛れに,庭の木の枝に、リンゴやミカンを半分に切って刺しておいたりすると、どこからもなく現れて突き始める。
ただ,その前に何時も何故か「ヒヨドリ」がやってきて,殆どを啄んでいってしまうのだが。
メジロが啄む姿はとても可愛らしく,ず〜っと見ていても飽きない。
二羽でやって来る事が多いのだが,よく見ると、二羽は微妙に色合いが異なっていたりするのだ。
何か「食べ方」も違うようで。
単純に「雄」「雌」の違いなのか,それとも。
いや「雄」「雄」かもしれず・・・
「雌」「雌」かもしれず・・・
そんな事を思い出しながら,いつのまにか、あのメロディ−が心の中で奏でられ始めているのに気付いた。
「新江ノ水」の何時ものポイントが近づくと,条件反射の如く「流星」のメロディ−が流れ始め、唇から「唄」がこぼれ落ちて行くのだ。
「ブロンプトン」を降り,深呼吸を一つ。
穏やかな日和の中,今日は「富士山」がとても鮮やかに見える。
波間に浮かぶサ−ファ−は,どこか所在なげだ。
右から,真ん中、左へと視線を移す。
最後に「江ノ島」を見ながら大きく3回深呼吸をした後「また来るよ!」と、ここの景色達全てに呟き、再びペダルを漕ぎ始める。
「雲とカモメが気持ち良さそうに浮いてるな」

「あのいつものポイントにトンビは羽を休めているだろうか?」

そんな事を考えながら,僕は今日も、湘南の光を、風を、全身で感じていた・・・



2012/2/17(金)22:40 「自宅」にて
          &
2012/2/19(日)15:39 「同上」


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