「7番ゲ−トからの旅立ち・・・」

 

 

●中原 茂 題名:「7番ゲ−トからの旅立ち・・・」・序章・ 投稿日 : 1999年9月9日<木>23時39分
街が動き始める時間僕は家を出た,今回は初めて.横浜から電車で羽田に入った。
ス−パ−シ−ト専用チェックインカウンタ−で搭乗手続きを済ませ,後は搭乗を待つだけであった・・・
天気は・・・悪い・・・
しかし僕の心は晴れていた,これからの旅へ思いを馳せていた。
僕の前を,飛行機がゆっくりと飛び立っていく・・・
搭乗がはじまり席に着いた,さすがス−パ−シ−ト.ゆったりと快適である。
窓から外を見ると,7の文字が見えた.そう僕が乗ったのは7番ゲ−トからであった・・・
7番・ラッキ−7,単純だがなんだか嬉しくなってきた.いい旅になりそうな気がした。
「7番ゲ−トからの旅立ちかぁ・・・」
そんな事をふと思った・・・・・
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●中原 茂 題名:「7番ゲ−トからの旅立ち・・・」・VOLT・ 投稿日 : 1999年9月10日<金>20時53分
「さあ仕度をしてビ−チに行こう」と用意を整えドアを開けようとした時,スコ−ルが来た.
しかしこれはもうスコ−ルとは呼べない,どしゃぶりの雨である・・・
一向にやむ気配はなく「あ〜あ今日はダメか・・・」ピ−カンの空,照りつける太陽,青すぎる海を
イメ−ジしていた僕にとって,判っていたとはいえ.やはり少々ショックだった・・・
那覇に着いた時から甘い考えは吹き飛んでいた,次々とやってくるスコ−ル.そのスコ−ルをつきぬけて飛行機は那覇空港に降りたった。
ちょっと明るくなってきたかなと思うと,又スコ−ル・・・まるでスコ−ルが団体さんで沖縄に観光に来たのかと思ってしまう程,あとからあとから押しかけて来ていた・・・
那覇から与論までは,琉球エアコミュ−タ−という小型のプロペラ機で飛ぶのだが.
予定より出発は15分程遅れ,イヤな感じになっていたのだ。しかし.与論に着く30分位の間は,晴れ間が覗いていたり.海もあの懐かしい青で「これなら与論も・・・」
という淡い期待を抱いてしまった。だが与論が近ずくにつれ暗雲は立ち込め,
巨大なカ−テンのようなスコ−ルがすぐ間近に迫っているのが見えた,あれがきたら・・・
と思いながら与論に到着,そして6年振りのプリシア・リゾ−トに入ったのだが,説明を聞いてチェックインをし.
まあこの位の天気ならビ−チに出てみよう,と軽い気持ちでいた僕をあざ笑うかのように.
そのあれが来てしまったのだ・・・そのあれはまだ雨を降らしている。
しかたない,今日は静かに本を読んだりCDを聴きながら過ごそう.そして
この与論島での事を書き込む為の文章を考えよう・・・何か僕はここに何をしに来たのか判らなくなってきた。
まるで南の島を訪れて執筆に没頭する作家のような気分である・・・
と,雨が小降りになりやんだようなので.浜まで散歩にでる事にした。いく道すがら赤花(赤いハイビスカス)や名前を知らない花ばながたくさん咲いていた。
そして南国特有の植物達が醸しだす濃厚な香りの中,6年振りの浜に出た・・・
すると何人かが出てきており,空も薄曇りであったが「これは何とか」と思い.すぐ引き返して
また着替え,急いで浜へ戻った,その時すでに16時.結局18時頃まで約2時間浜にいた。
そしてシュノ−ケリングをして懐かしい魚達に会い,地元のおじいと話もした・・・・・
:VOLUへ続く・・・
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●中原 茂 題名:「7番ゲ−トからの旅立ち・・・」・VOLU・ 投稿日 : 1999年9月12日<日>13時57分
・・・おじいの話だと,このプリシアリゾ−トのある浜一帯も.昔は珊瑚に彩られていたという(去年沖縄でも話題になった珊瑚の白化現象も原因の一つだとか・・・)
しかしこの浜から珊瑚は全くなくなってしまったという,僕がきた6年前にはまだかろうじて残っていたように思う。
でも今日覗いてみてひどい有様に驚いた,一昨年の久米島もそうだったのだが.年々ひどくなっているようだ・・・
そしてもう一つ大変がっかりしたのは,ビ−チ沿いにあるジャグジ−の変わり様であった。
あの時は,水もその当時話題のパイウォ−ターを使っていて.水そのものが柔らかく感じられ
とてもキレイで,ず〜っとそのジャグジ−からビ−チを眺め.すぐ隣の飛行場に滑り込んでくる飛行機の
ダイナミックな姿を飽きる事なく眺めていた・・・そのあれほど気持ちが良く,あのジャグジ−に
又会いにいきたいと思っていたジャグジ−が,今では汚れ果て水も濁っており.掃除もしていないのか
色々な物が浮かび砂も底に溜まっていて,体を沈めようとはどうしても思えない場所になっていた。
でもせっかく来たのだからと思い切って入ってみたのだが,何か匂いもするようですぐに出てしまった・・・
おおげさなようだが,夢のようにキレイで気持ちのいい場所だったのに.という残念な思いと
プリシアリゾ−トが輝きをどんどん失なっていっている様がうかがえ,何ともいえない気持ちになった。
あれほど僕にとっていい思い出として生き続けている場所であったのに・・・
しかし・・・ここの風は,空気は変わらず僕を迎えてくれた。
懐かしい道をあるき「あの時泊まったコテ−ジは・・・」と探してみたのだが老朽化の為かなくなってしまっていた・・・残念・・・
あの頃,8月の頭だというのに赤トンボが乱舞していた道は変わらず.花ばなは変わらず.そこここに存在していた。
何かあの時の僕が,振り返るとこちらに歩いてくるようで.真夏の陽射しをいっぱい浴びながら
少年のように瞳を輝かせている僕が歩いてくるようで,あの頃と同じ風に吹かれながら
僕は,しばし立ち尽くしていた・・・
PS:ちょっと否定的な事を書きすぎましたが,御容赦下さいハハハハハハ・・・・・
・VOLVへ続く・・・


[7] 「7番ゲ−トからの旅立ち・・・」・VOLV・ 投稿者: 中原 茂 投稿日:1999/09/13(Mon) 17:26     
二日目(金曜日)・・・
天気悪し・・・昨日何人かの人に聞いた,シュノ−ケリングをするのにいい浜の
どれかにいこうかと迷ったのだが,結局ず〜っとこのプリシアのサンセットビ−チ(通称)
にいる事にした。それは,今日もスコ−ルラッシュになりそうで
天気が不安定だという事もあったのだが・・・
9時30分・浜へ,もう何人かは来ていて海に入っている人もいた。スタッフに聞いたら
「今日も判らない天気ですねぇ」という事だった,薄曇りの中僕もスタンバイをして海に入った。
沖のブイの所に昨日のおじいが船をもやっていたので,ちょっと話をしに行った・・・
おじいは,船の上から浜の監視をする仕事をしているという,昨日はジャグジ−のあたりから監視していたのだ。
おじいはこの日の午後,遥か沖に行きすぎて帰ってこられなくなった二人乗りのカヌ−に紐をつけ.
ブイのあたりまで曳航してきたのだ,おじい大活躍である。
ちなみにおじいは携帯を持っていて,船の上でよく電話をするらしい・・・
ハイカラなおじいなのである(ハイカラなんて言わないかハハハハハ・・・・・)
ところが天気が可哀想に思ってくれたのか,晴れ間が何度か覗いた。この覗いた時に.
その瞬間に海に入るのである。まだピ−カンになった事はないが,晴れ間が覗くと.流石に息を呑む美しさである・・・
風は海へと吹いていたので,浜から後ろを振り返り.晴れ間が来るのかスコ−ルが来るのかを判断していた。
大きなスコ−ルの時はスタッフがマイクで「これから雨がくるかもしれませんが勘違いをしないで下さいこれはスコ−ルなので,少し長く降るかもしれませんが・・・」と言っているうちに・・・きた・・・
すごい土砂降りである,濡らしてはいけない荷物は.部屋から持ってきた傘をその上にさした。
後はデッキチェア−でじっとしているだけである・・・
人間は濡れてもかまわないが,荷物が濡れたら大変なのだ・・・
雨にたたかれる事10分弱,スコ−ルが行った・・・行く時は突然だったりする。
来る時は一応見えるので,「そろそろきそうだぞ」とかまえられるのだが・・・
とにかくでかいスコ−ルを一つクリアした,ちなみに今日はでかいのが三つきた.
スコ−ル・スコ−ル・でかい土砂降り・スコ−ル・晴れ間・スコ−ル・スコ−ル・etc・・・と.
こんな感じであったろうか,しかしよく焼けた.逆にいうとピ−カンだったら
さぞ恐ろしかったと言えよう,こんな天気だったのに「与論恐るべし」.多分.
夜苦しむ人が何人もいると思われる。
今日は7時間ちょっと海にいたのだが,すご〜くのんびりした。
好きな時に好きな事をやる,又は何もやらないというのは.本当に精神衛生上
とてもいい事なのだなと思った・・・明日もどこにも行かず.
サンセットビ−チにいようと思う,そして一度でもいいから.ピ−カンの空に会いたいと思う・・・
PS:VOLWへ続く・・・


[20] 「7番ゲ−トからの旅立ち・・・」・VOLW・ 投稿者: 中原 茂 投稿日:1999/09/14(Tue) 23:56     
さて今回の旅,リゾッチャエクスプレスという飛行機で行ったのだが.
機内で「ビンゴでスカイ」というゲ−ムがあった,でそのビンゴの
進行の声をやっていたのが・・・知っている人であった・・・
結局僕は三ヶ所リ−チになったのだが,ビンゴにはならなかった
「〜さん怨みますよ」と心の中でつぶやいた,この事は早速仲間に報告しなくてはハハハハ・・・・
プリシアにいたネコはちょっと変わっていた,耳が尖りぎみで顔もスッとしていて
何かイリオモテヤマネコに似ていたように思う。
そのうちの一匹の子猫は目もまん丸でパッチリしており凄く可愛かった。
僕の周りにまとわりつきながら,寝転がり.頭を掻いたりしてやると
気持ち良さそうに目を閉じていた・・・「こんなところで暮らせるお前は幸せだな」と.
ノドをゴロゴロさせているそいつにつぶやいた・・・
イヌは一匹いた,でもこの犬はプリシアの犬なのか誰かの飼犬なのかはよく分からなかった・・・
この犬はとても利口で,例えば朝食を食べに行く途中.その犬をみかけ
手を振って挨拶をしたりするとこちらにやってくる,ここまでは普通の犬と同じなのだが
僕が振り返ると,彼は立ち止まりあらぬ方向を向くのだ。
そう「私はあなたの後を追ってきたわけではありませんよ」という.
まるで人間と同じような反応をするのだ。こちらがもろてを上げて
彼を迎えいれればくるのだが,こういった場合.
何度振り返っても,立ち止まり.しらんふりをする・・・
「お前人間と一緒だな」と,思わず声を掛けてしまった。もしかしたら彼は
自分の事を犬だと思っていないのかもしれない,そんな事をふと思った・・・
PS:VOLXへ・


40] 「7番ゲ−トからの旅立ち・・・」:VOLX: 投稿者: 中原 茂 投稿日:1999/09/17(Fri) 18:48     
三日目(土)・・・
フロントに電話して聞いたら,今日は天気が回復してくるという事であった。
今日の朝食は和食にした,昨日の洋食の時もそうだったのだが.
デザ−トのパインを山盛り持ってきて食べた,今日のパインの方が美味しかった・・・
9時15分・浜に降りてビ−チカウンタ−に行くと,晴れているのにスコ−ルがきた
(何と今日のスコ−ルはこの一回限りだった・・・)
ピ−カンとはいかないまでも晴れ間が多く,Tシャツを着たり時間をみて注意しながら海に入っていた。
土曜という事もあってかビ−チは一番の賑わいで,まるで湘南に来たかのようであった
せっかく静かにゆっくり時の流れを楽しんでいたのに・・・
でも仕方のない事なのかもしれない,皆この海を前にすれば.
気持ちが自然に開放されていくだろうから・・・
ここにきて「あれっ」と思った事の一つは,ヤドカリをみかけなかった事だ
探してはみたのだが,影も形もみあたらない.ちなみにこの5日間のうち,それでもラッキ−にもなんとかみつけたのは.一回であった・・・
たった一回である,去年の宮古でもどこでも.昼間でもヤドカリは一杯いたのに,与論ではぱったりなのである。
あとでビ−チカウンタ−のスタッフに聞いたら「朝方にはいっぱいいると思いますよ」
という事だった。なんでも朝になると,海に向けてヤドカリがはった跡がたくさんあるという事なのだ.
「よし,明日は早起きをしてヤドカリをみつけよう」と.かたく心に誓うのであった・・・
PS:VOLYへ続く・・・


[56] 「7番ゲ−トからの旅立ち・・・」・VOLY・ 投稿者: 中原 茂 投稿日:1999/09/19(Sun) 15:56     
・・・もう一つ「あれっ」と思ったのは,6年前の8月の頭にきた時は
赤トンボが既に乱舞していたのだが,この9月の頭もやはり乱舞していて。
しかも,2匹なのである。つまり交尾の最中で.そこら中カップルだらけ.
朝っぱらから,元気に2匹で飛びまわっているのである。これにはビックリした
ほとんどのトンボがそうだったのである・・・
それから初日におじいと話した時に,みればもちろん判るのだが.「ここいらのサンゴは全滅していて,20年位前はここいら一帯サンゴの海だったんだが・・・」
という話を聞いていた,そこで僕はず−っとこの浜にいる事にしたのだから.
何かサンゴの兆しでも見つけたいと,ブイの周りの少し外をシュノ−ケリングしていた。
そして偶然,ほんとに偶然.クマノミの小さな城を見つけた・・・
なんとそこだけ,小さくイソギンチャクがいて.クマノミの家族がいた。
僕は凄く嬉しくなって感動して,彼らに近ずいていった・・・
周りには何もないのに,そこだけ.ほんの小さなその所だけに彼らはいた。
僕が近ずいていくと,親がこちらに威嚇の為に近ずいてくる.
自分達の子供を,城を守るのに必死なのである。
僕は写真を何枚か撮りながら,彼らの姿をじっと眺めていた.波に揺られながら眺めていた・・・
そういえば,去年の宮古島のリゾ−トホテル・ブリ−ズベイマリ−ナのプライベ−トビ−チにも
クマノミはいたのだ,ここよりもっと全然条件は悪く濁った水の中に僕は彼らを見つけた。
「こんなところにも・・・」と思ったのお憶えている・・・
クマノミというのは案外生命力の強い魚なのかもしれない・・・
周囲の地形と,浜に大体の目印を探し.僕はクマノミの小さな城をあとにした・・・
PS:ちなみに,海は息をのむほどにキレイなのは変わらず.
浜辺に座って眺めていると,波打ち際まで魚がきているのが見え
砂のグラデュエ−ションが何ともいえず見事で,打ち寄せるさざ波の.やさしく透明感のある青は,いつまで見ていても飽きる事はなかった・・・
陽射しによって色を変える海の青・・・ここプリシアのサンセットビ−チに.
サンゴは確かにないのだが,透明感が素晴らしく.砂もキメ細かく(厳密に言うと砂ではないのだが)
いつまでも見飽きない風景を抱いている・・・
沖を走るフェリ−,そしてすぐ隣の空港に滑り込んでくる飛行機のダイナミックな姿.
サンセットの圧巻・・・それらとあわさりこの海の青が.尚更引き立てられているようだ。
人が造ったものは変わっていくが,自然はやはり自然のまま.
美しくたくましい姿を垣間見せてくれる。
そして僕らは,そこにお邪魔させてもらっているという気持ちを忘れてはならないと思った・・・
この水の青さ,キレイで透明なやわらかさと.やさしく包んでくれるこの海のおおらかさ。
「やっぱり来て良かった・・・」と思った瞬間であった・・・
:VOLZへ続く


[62] 「7番ゲ−トからの旅立ち・・・」・VOLZ・ 投稿者: 中原 茂 投稿日:1999/09/20(Mon) 19:32     
4日目(日)・・・
ちょっと寝坊したが,6時半に起き仕度をして浜に急いだ。
「ヤドカリがいっぱいかぁ〜ハハハハ・・・・・」と思いながら勇んでいったのだが.影も形もなく,遅かったのかなぁと思いながら朝食をとりにいった・・・
今日はもう天気は大丈夫そうである,しかし初日からのスコ−ル対策の青いビニ−ル傘は持って出かけた・・・スタッフに「7時にきてみたんですがいませんでした」
と話すと「ヤドカリは早起きなんですよ」という答えが帰ってきた.
そうかもっと早くこなければ・・・最終日はほんとに早くこようと,ヤドカリになみなみならぬ思いを抱く僕は,心にしっかりと誓った・・・
流石に9月になると,7月や8月の時のような.鋭く刺すような強い陽射しではないのだが,それでも本土に比べると全く違うので.油断をしていたら大ヤケドをする,もうすでに黒くなっていた僕でさえ,昨日クマノミの城に到達するまでに迷ってしまい.(クマノミの城を見つけたのは,2日目(金)の事でした・・・)
40分近くもシュノ−ケリングをしていたら,Tシャツをきていたにもかかわらず海からあがった時「これはやばいかも」と思った位である,特に肩や背中が・・・
でもすぐシャワ−を浴びてク−ルダウンしたり,背中を保護したりしていたので大丈夫だったのだが・・・
ここらへんの陽射しをなめてはいけない,バカにしているととんでもない目にあわされて
のんびりしようなんて悠長な事はいっいられない体になってしまう。
6年前に与論に初めて来た時は,8月の頭で.ピ−カンで.パラソルの下の日影にいても,暑くて暑くて何分もいられなかった.
いつもシャワ−を浴びに走っていた・・・そんな陽射しの中にいると体が焦げていくのがわかる,音をたてて焼かれていくのがわかる・・・
だから僕は,Tシャツを脱いだり着たりしながら.シュノ−ケルも時間を10分〜15分と決めて浜にあがる事にしていた。
そうやって気をつけていないと,冗談ではなく死んでしまう.これはホントである・・・
PS:VOL[へ続く・・・
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「7番ゲ−トからの旅立ち・・・」・VOL[・
あの陽射しは今でも憶えている,暴力的ともいえる強烈な陽射し。真っ直ぐ歩けず前屈みに自然となってしまうような陽射し・・・
デッキチェア−に寝転びながら,そんな事を思い出していた。
陽射しが柔らかくなったとはいえ,本土と同じように考えていてはそれこそ
大変な事になってしまう・・・
海の上に仰向けに浮いていると,空は高く.青空と雲がキレイである。
砂浜に寝そべっていると,波が柔らかく砂の音がやさしい・・・
確かに海の中はキレイで,僕は.クマノミをはじめ色々な魚達にも逢いたかったのだが,僕が一番逢いたかったのは.この空・この雲・この海・この波・この空気・この陽射し・この風達だったのかもしれない・・・
もうほとんどシュノ−ケルをする事もなく波打ち際にいたり、ビ−チマットにあお向けになり、海に浮かびながら.青空と雲が流れるのを見ていた。
まさしく「楽園」がここにあった・・・このままず〜っと雲の流れを見ていたい
そう思った。こういった南の島では,時間がたつ.流れるといった感じではなく,今日思ったのだが.溶けていくという感じがする。時間が溶けていく
やさしく・ゆっくり僕を包みながら,溶けていく・・・
もしここにこのままず〜っといたら,僕は溶けてこの自然の中に同化してしまうのではないだろうか,そんな事を思った。そして同化してみたいと思った,あたりまえになってしまいたいと・・・
今日も南の島の時間が溶けていく,デッキチェア−で本を読みながらペ−ジをめくる僕を包みながら,ゆっくりと.溶けていく・・・
夕食前にサンセットを見たいと思った。
きっと凄い夕陽なんだろうなと思った・・・
PS:VOL\へ続く・・・

 


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[113] 「7番ゲ−トからの旅立ち・・・」・VOL\・ 投稿者: 中原 茂 投稿日:1999/09/30(Thu) 15:07     
・・・そして最後に見たサンセットは圧巻であった・・・
言葉にならない程見事なものであった・・・
夕食後,ブラブラしていて空を見上げると.星がキレイだった。
ただ周りが明るすぎたので,ホテルから少し離れた所で見る事にした
・・・凄い星空だった・・・真っ暗だったらさぞ凄い星空だったろうと思う・・・
今から10年前の夏,僕は初めて一人で沖縄に行った。
目指すは,慶良間列島の中の渡嘉敷島・・・
その時泊まった民宿のおばさんに「今日は星がキレイだから浜に降りてごらん」
といわれ見上げると,やはり周りが明るいせいか.星はあまり見えなかったのだが.
真っ暗な浜に,おそるおそる降りていき.空をみあげると・・・川が流れていた。
太い星の川が,向こうにある無人島の上からこちらに向かって流れていた・・・
・・・それは・・・天の川だった・・・
こんなにハッキリみたのははじめてである。
手を伸ばせば届くところに星の川は流れていた,暗い空にながれる銀の川
・・・僕は,声もなく何も考えられず.ただ見上げていた・・・
そしてしばらくすると座ったらしく,ただただ時の経つのも忘れ見上げていた・・
その時の事を思いだしながら,夜空を仰いでいた。
「最後の夜にいいものを見せてもらった・・・」
今夜の星空も僕はきっと忘れないだろう・・・
PS:VOL]へ続く・・・


[120] 「7番ゲ−トからの旅立ち・・・」・VOL](最終章) 投稿者: 中原 茂 投稿日:1999/10/01(Fri) 16:22     
5日目(最終日・月)・・・
・・・6時に浜に行った,しかしヤドカリはいなかった。
変わりに,浜ではなくレストランの前でカニを見つけた.
「あっ」と思い足早に近ずいていって隅においつめたと思ったら
ピタリと動かなくなった,すごく近ずいても動かない.間近でシャッタ−をきっても動かない,まるで「僕はここにはいませんよ」
というように・・・見事!とつぶやいてしまった・・・
・・・海で過ごす最後の3時間,これで僕の夏の時間が終わりをつげる・・・
最後のシュノ−ケリングをしてクマノミ達に別れをつげ,ブイの所にいるおじいに別れをつげ,波間に揺られながら.与論最後のまっ青な空を見上げて波打際に寝っ転がりながらやさしい波音に耳をかたむけていた。
雲はいつものようにあたりまえに流れている・・・静かだ・・・
聞こえるのは,波の音・砂の音・鳥の声・島の音・・・色々な事があった旅であった
そして小さな出会いもいくつかあり,時というものはいくらあっても足りないものだと思った,人間は贅沢な生きものだとも思った。
今度はほんとうに何もしないで浜にいるだけという風にして過ごしたいと思った
シュノ−ケリングもせず写真も撮らず,ただ.暑くなったら海に入り寝っ転がり.シャワ−を浴び.まどろみ.本を読む.そしてお腹がすいたら
ご飯を食べ.喉が乾いたら何かを飲む・・・
時計をはずして,何も考えず過ごせればいいなと思った。
今度はどこに行くのかは判らないが,そんな風に過ごしたいと思った・・・
静かに与論の時が過ぎていく,ゆっくりと時が柔らかく溶けていく.
この夏もきっと忘れないだろう,この暑かった夏はきっと忘れないだろう・・・
そろそろフライトの時間が迫ってきた,僕はゆっくりと立ちあがる.
大きく深呼吸,与論の海と空に「ありがとう・・・じゃあね」とつぶやき歩き始めた・・・
羽田のNO.7ゲ−トから飛びたった今回の旅,飛行機から見える7の文字を見て「ラッキ−7か,いい旅になるかもな」と思った時の自分が浮かんだ。
まさしく今回の旅は,幸運な時間への旅立ちになったと思う。
そしていつまでもいつまでもこの幸運な時間が続くようにと・・・
そんな事を思いながら歩く僕は,与論最後の陽射しを.背中から正面から
浴びながら,次の旅立ちに向けて気持ちを新たにしていた。
見上げる空はどこまでもどこまでも青かった・・・

それでは又!!



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